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聖地・ルルドと巡礼の旅

聖地誕生


 フランスとスペインの国境にそびえるピレネー山脈。その麓に小さな街、ルルド( Lourdes )があります。

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FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF35mmF1.4 R フランス・ルルド ロザリオ大聖堂

 1858年、貧しい家に育った少女・ベルナデッタ( Bernadette Soubirous )は、ルルドの洞窟の中でまばゆい光に包まれ白い服を着た不思議な女性を目撃し、その出来事が街中に騒動を巻き起こします。その後もベルナデッタが洞窟を訪れる度に、不思議な現象は続いたため、日増しに洞窟を訪れる人は増え、小さな街の混乱はさらに増していきました。混乱の拡大を恐れた検事が彼女を拘禁しようとしたときには、街の人が暴動を起こしかけたほどです。

 その女性の正体は分からないままでしたが、ある日ベルナデッタは、その女性から自分は「無原罪の御宿り(むげんざいのおんやどり / 現地方言: Que soy era Immaculada Councepciou / ラテン語: Immaculata Conceptio Beatae Virginis Mariae )」であると聞き、神父に伝えます。この言葉は、聖母マリアに関するカトリック教会における教義を示しており、ラテン語どころか標準フランス語すら話すことの出来ないベルナデッタには知り得ない言葉でした。このことから、聖母マリアの出現であると信じられるようになったのです。

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FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF35mmF1.4 R フランス・ルルド 無原罪の御宿り大聖堂

 不思議な出来事はこれだけに留まりません。女性の言葉を受けてベルナデッタの示した地点からは泉が湧いたのです。治療不可能な難病の人がこの泉の水に浸ったところ、その難病が治癒したという出来事が起こり、カトリック教会から正式に「奇跡」と認定される事例が相次いだのです。この場所は「ルルドの泉」と呼ばれ、病を持つ多くの人が訪れる聖地となりました。ベルナデッタは35歳で亡くなりますが、その死後の1933年に正式に列聖され、ブルゴーニュ地方ヌヴェールのサン・ジルダール修道院で安らかに眠っています。

聖地への旅


 ルルドへは、フランス南西部の大都市・トゥールーズから直通の特急列車(インターシティ)で2時間ほどの距離です。直線的な屋根構造が印象的なトゥールーズ・マタビオ駅に入線していたのは、2列+2列で構成されるローカルな雰囲気の車両でした。蛍光灯もなんだか古くさい造りですよね。

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EOS 5D Mark II + タムロン SP AF17-35mm F/2.8-4  トゥールーズ・マタビオ駅


 トゥールーズ・マタビオ駅を出発すると、トゥールーズの市街地がしばらく続きます。ミディ運河を越え、郊外に出ると急に農地が一面に広がり、路線も曲がりくねりながら進んでいきます。日本の在来線も真っ青のクネクネ度合いで、とてもスピードは出ません。

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 途中に大きな駅は無く、まさにローカル線といった雰囲気ですが、途中のタルブ駅から西側はTGVが走っているため、駅にTGVの車両が何編成も止まっています。

 タルブを出ると、進行方向左手にはピレネー山脈が近づいてきます。美しい山並みに見とれていると、牛が放牧されている草原の真ん中にDHLやマレーシア航空などの様々な機体が目に飛び込んで来ました。中には機首部分が切り取られ、輪切りのようになっている機体もあります。まさにこれは飛行機の墓場ではないですか!

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 地図を見てみると、タルブ・ルルド・ピレネー空港の北側に当たるようです。タルブ・ルルド・ピレネー空港はルルドへの巡礼者を迎える小さな空港で、チャーター便が多くを占めているそうです。そんな空港の脇に、民間航空機のスクラップを行う工場が併設されているのは何とも不思議な話です。

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by google Map

 聖地に行く前に墓場を見ることになるとは思いませんでした。間もなくして列車はルルドの駅に到着します。駅周辺の交通量はわずかで、多くの巡礼者を迎え入れている場所とは思えないほど静かです。山の上にある駅から坂を下り、一旦ホテルに荷物を預けて、ルルドの中心地へ向かいます。


聖域を行く


 ルルドの中心部には「聖域」(サンクチュアリ)と呼ばれるエリアがあり、規模の大きな礼拝堂が建っています。入口側にはロザリオ大聖堂があり、内部にネオ・ビザンチン様式が、外部にロマネスク様式が複合的に用いられています。冒頭に取り上げたドームは、まさにネオ・ビザンチン様式の典型と言えるでしょう。広い空間を生かし多くの人々が祈りを捧げており、ミサも頻繁に行われているようです。また聖母マリアが出現したとする洞窟の上には無原罪の御宿り大聖堂が建っており、これがルルドの象徴として認識されている建物になります。ただし、遠くからはどちらも一体化しているように見えます。

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FUJIFILM X-Pro1 + フジノンレンズ XF35mmF1.4 R フランス・ルルド ロザリオ大聖堂

 新しく生まれた聖地ということでもあり、所々に現代的な要素を垣間見ることができます。またX-Pro1とXF35mmのペアが、この雰囲気を忠実に描写してくれます。

 聖堂はここだけでなく、なんと地下にもあります(聖ピオ10世地下大聖堂)。横浜大さん橋のような、内部に柱の無い巨大空間が広がっており、2~3万人を収容可能な規模だそうです。大規模なミサも行っているのですが、いかんせんカトリック信者でない(特段の信仰を持ってないですが)私が安易な気持ちで参加するのは憚られるところであり、一旦ホテルに戻ることとします。


ろうそく行列の夜


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 ベルナデッタが、聖母マリアを目撃したすぐ後から始まった洞窟前のろうそく行列は今も続いており、毎日夜9時に多くの人が列を作ります。様々な国の巡礼団が訪れており、車いすの老人も多く見受けられます。「アヴェ・マリア」と皆で歌いながら列は進みます。

 X-Pro1は高感度でも絵が崩壊せず、ろうそくが彩る光景を見事に描き出してくれました。ただ、かなり強めのAF補助光が出るため、皆様を驚かせてしまって申し訳無かったです。(X-Pro1では、その名も「マナーモード」という機能でOFFにできます)

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 各国の色々な人が一斉に祈りを捧げる姿は、非常に印象的です。暖かいろうそくの光が延々と続き、行列が途切れません。手元の旗やボードを見ているとポーランドなどの東欧圏・旧ソ連圏の方が多いようでした。世界から巡礼者を集めていることがよく分かります。

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 聖堂前に集まった群衆は改めて祈りを捧げます。世界から集まった人々が祈る夜はこうして更けていくのでした。




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by vivid_bit | 2014-08-03 18:28 | XF35mmF1.4 R
独特の提案力 それがDP2Merrillを使う理由
 シグマからのMerrillシリーズの後継となるdp Quattro(本シリーズより小文字のdpが正式名になったようです)が発売されました。実際に手に取ってみると、シャッターを押し込んでからタイムラグなくすぐ撮影でき、DP2 Merrillでは恐ろしいほど待たされた書き込み時間も、dp Quattroではとにかく速く、これはテンポ良く撮影できるマシンだなと感心しました。実際に撮っていないので肝心の絵作りについてはノーコメントですが、とにかく普通のマシンらしくなってきたなというのが直感的な印象です。

 一方でMerrillシリーズについては、これほど使い手を選ぶカメラは無いと感じています。マイナスの面もありますが、やはりプラスの面は唯一無二の部分が多く、特に使い込むほどに味が出る描写には毎度驚きがあります。

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SIGMA DP2 Merrill パリ ルーブル美術館

 写真とは元来撮影時に全てをコントロールしきれるものではなかったはずです。フィルムカメラを使われていた方にはよく分かると思うのですが、現像をして実際に上がってきたものを見て、大喜びしたり、驚いたり、がっかりしたり、反省したりというのを繰り返すことで、写真の面白さを学ぶことができたのです。今は今の写真の楽しみがあるのは事実ですが、一方で撮影時に予測できなかった絵作りの提案を与えてくれるカメラはそう多くありません。

 その点でDP Merrillシリーズは毎度想像を超える提案があり、こちらの成長さえも促してくれるような力さえあります。

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 パオロ・ヴェロネーゼ「カナの婚礼」

 陰の部分が緑がかったり、肌が土気色になったり、なんとも乱暴なところがあるのですが、お前がピンポイントで見せたい部分はこれなんだろ……という提案を逆に食らった感があります。確かに素直な描写ではありません。しかし左腕のピンクのウォッチと右腕の水色のリストバンドの色彩のコントラスト、そして日本人ではあまり見ないような、力強くこんがり焼けた腕のリアル感、大作「カナの婚礼」を取り囲み密集する人々とそのサングラスに映り込む鈍い照明光といい、何とも不思議な魅力のある描写ではないですか。

 ちなみにこの絵の反対側にはかの有名なモナリザが掲げられています。(この部屋がルーブル美術館の中で一番混んでいると言っても過言ではないでしょう)

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「サモトラケのニケ」( Victoire de Samothrace )

 そもそも最初にこのカメラに興味を持ったのは、東京・中野のフジヤカメラの店員さんからの「独特な空気感という意味ではDP2 Merrillが面白いですよ。Leica X2なんて目じゃないです。」という一言でした。解像度番長的な扱いを受けるMerrillシリーズですが、個人的には解像度云々というよりも、この独特の空気感とそれによって生み出される驚きの提案力に今も惚れ込んでいます。


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SIGMA DP2 Merrill パリ・モンマルトル 「メゾン・コリョン」( Maison Collignon / 映画「アメリ」のロケ地)

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パリ・モンマルトル ジュテームの壁

 デジタルカメラの寿命は短いと言われてきました。確かに非デジタル時代のライカのようなメカニカルなカメラと比べれば、メンテナンス可能な期間等を考えると寿命は短いかもしれません。しかし一方で、一般家電以上にある程度長期に渡って愛用できるデジタルカメラも増えてきたという印象がします。どんなシーンでも使える万能カメラだけでなく、少し独特な絵にチャレンジできるカメラを一台手元に置いておくのも面白いのではでしょうか。


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by vivid_bit | 2014-08-03 12:51 | DP2 Merrill


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