スイスの車窓から2(ヴェンゲルンアルプ鉄道を旅する)
 スイスを巡る観光ツアーの大半で、必ずといっても入っている場所があります。一つはマッターホルンの周辺で、これは前回(ゴルナグラート鉄道を旅する)及び以前(スイス・マッターホルンへの鉄路とモノトーン旅行記)の記事でご紹介したエリアになります。

 もう一つは今回ご紹介するアイガー、メンヒ、ユングフラウのあるオーバーラント三山の周辺のエリアです。特にユングフラウの山腹にありヨーロッパ最高地点にある駅・ユングフラウヨッホ駅を目指すことが多いようですね。日本の観光ツアーのみならず、世界中の観光客を集めているこのエリアの魅力をEOS 5D MarkIIと共にお伝えします。

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EOS 5D MarkII + EF24-70mm F2.8 L USM ユングフラウ鉄道 クライネ・シャイデック駅付近


ヴェンゲルンアルプ鉄道を行く

 旅は、72の滝を有するとされる谷底の街、ラウターブルンネン( Lauterbrunnen )から始まります。スイス中部の高原地帯、ベルナー・オーバーラント地方の山岳観光において入口ともいえる場所にあるこの街からは、ヴェンゲルンアルプ鉄道( Wengernalpbahn )が伸びており、山の中腹にあるリゾート地ヴェンゲン( Wengen )を経由して、峠の駅クライネ・シャイデック( Kleine Scheidegg )にたどり着きます。ついでに言うと、鉄道自体は、峠の向こうの東側にある観光拠点・グリンデルワルトにもつながっているのですが、運用上はクライネ・シャイデックで分断されており、全線通しの運転はされていません。

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ラウターブルンネン駅

 ラウターブルンネン駅から山々を見上げると、あんな高いところまで本当に登ることができるのかと思ってしまうほどです。まして、こんなに厳しい地形を100年以上も前から鉄道が乗り越えていたことに驚きを感じざるを得ません。

 思いを馳せるうちに、鉄骨とガラスを使った簡素ながらも現代的な駅舎に小さな列車が入線します。日本では見たことが無いくらいに座席が小さくて窮屈な車両ですが、旅の雰囲気は満点ですね。さぁ、いよいよ出発です。


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ヴェンゲン駅

 緩やかな坂を右に左にとカーブしながら登っていき、ラウターブルンネンの街を下に見ながらU字谷の壁面を列車は登っていきます。斜面を登り切ったところにある街が、リゾート地でもあるヴェンゲンです。

 ゴルナーグラート鉄道もそうなのですが、スイスの鉄道はパターンダイヤをきっちりと守りつつ、乗客が車両からあふれるような時は、臨時列車を続行運転させる形を取っています。今回、アジア系の団体旅行客を乗せた専用列車(この写真に写っている列車)が先行し、私の乗った列車はそれに続く形で進んでいます。乗降客の多いヴェンゲン駅では先行列車が停車していたところに後続列車である我々の列車が追いつきました。ヴェンゲンで降車した人たちが先行列車の出発を待っています。


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 急峻なアルプスの山並みが行く手を遮るかのようにそびえ立っていますが、列車はそのままのスピードで山を登っていきます。自然いっぱいの光景に脇見するのも惜しいほどです。

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 途中、小さな駅舎しかないヴェンゲルナルプ駅を通りますが、駅舎の裏にはしっかりしたレストランがあるというから驚きます。観光大国としてのレベルの高さを痛感しますね。

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ヴェンゲルナルプ駅~クライネ・シャイデック駅間

 急な斜面に広がる放牧地を抜け、山の木々が無くなると、目の前に荒々しく巨大な山塊が目に飛び込んできました。アイガー、メンヒ、ユングフラウの三山です。その巨大な岩の壁からは、車窓越しであっても圧迫感を覚えるような迫力があります。地球の質量が可視化されたかのようなインパクトです。この瞬間こそが、この鉄道最大の見せ場と言えます。ということで登りの場合は進行方向右側の座席がおすすめです。

 この大パノラマが見えると、いよいよ峠の駅、クライネ・シャイデックに到着です。

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クライネ・シャイデック駅


クライネ・シャイデックで途中下車


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クライネ・シャイデック駅付近

 クライネ・シャイデックは、ラウターブルンネンから登ってきた列車と、グリンデルワルトから登ってきた列車が合流し、ユングフラウ鉄道に乗り換えてさらにユングフラウを目指す地点にある駅です。したがって3方向に線路が伸びている形になります。標高は約2100メートル。ラウターブルンネンからは45分をかけて1200メートル以上登ってきた計算になります。

 駅以外には雰囲気のある山岳ホテルとレストランが建っているだけで、街といえるようなものはありません。しかし駅やその周辺からは絶景を楽しむことができ、ただ登山電車の乗り換えだけに使うにはもったいないほどの場所です。このホテルもアイガーを目指すクライマーにとって、出発点ともなる場所なのだそうです。

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 駅周辺にはハイキングコースがあり、穏やかな景色を楽しみながらのハイキングが楽しめます。複数のルートがあり、いずれも眺めは抜群です。これほどに素晴らしいハイキングコースもなかなか無いように思えます。

 ユングフラウ方面に向かう道の途中には柵があり、観光客が通る旅は毎回毎回開閉が必要になります。なんだろうと思ったのですが、傍らの草むらを見てその理由がよく分かりました。牛が線路に入ってしまうからです。


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 牛がこんな近くにいるなんて、驚きの光景ですよね。カウベルを鳴らしながらお食事を楽しんでいました。

 クライネ・シャイデックの駅周辺では、このようなのどかなアルプスの光景も楽しむことができるわけです。



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レストラン アイガーノルドバンド

 クライネ・シャイデックの駅のすぐそば、三山を望む一番の場所にレストラン・アイガーノルドバンド( Restaurant Eigernordwand )があります。ノルドバンドとは北壁の意。外にはテラス席からアイガーの切り立った岩壁を見ることができます。地場のチーズを使った料理とアルプスの巨大な山々を肴に飲むビールは、本当に生きていて良かったと思う味わいでした!(笑)

 次回はクライネ・シャイデックからユングフラウ鉄道でユングフラウヨッホを目指します。

つづき



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by vivid_bit | 2014-07-06 19:32 | EF24-70mm L USM
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