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トラムのある街・ボルドー by NOKTON 50mm F1.5
 トラムが走っている街は独特の温かさがあります。色々な理由はあると思いますが、街全体が車一色に染まらずに、人や歴史との調和というものを人々が大事にしているからかもしれません。

 ボルドーもそういった面が色濃い街だと思います。そして、大西洋に注ぎ込むガロンヌ川の左岸に広がる世界遺産の指定地区をトラムは走ります。近未来的なデザインの車体と歴史ある街が調和しているのが何とも不思議に思いませんか?

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LeicaM9 + Voigtlander NOKTON 50mm F1.5 Aspherical フランス・ボルドー


 このトラムはご覧の通り架線がありません。どうやって電気を引いているのでしょうか? 電池でしょうか? いえ、レールをよく見て下さい。2本のレールの間に、なぞの線が一本ありますよね。この線の地下に電気を流す第三のレールがありまして、いわゆる第三軌条方式と呼ばれる仕組みなのです。実際にこの集電レールはほとんど隙間がなく、その下に電気が流れていることはもちろん、その下にトラムからどうやって差し込んでいるのかも分からない程です。

 第三軌条方式といえば東京では銀座線があります。銀座線のホームから線路の反対側を見ると電流注意のプレートが出されているのですが、このトラムにはそうした注意は一切ありません。確かに、この下に足を突っ込んでしまうような危険性は無さそうです。

 フランスでは各都市において野心的な交通システムの導入がなされることがありますが、ボルドーの第三軌条方式(路面集電システム)はその最たるものと言えそうです。



アラン・ジュペ市長の施策とトラムの関係

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 このトラムの整備は、当時のアラン・ジュペ市長が進めたものですが、単にトラムの整備だけではなく、ガロンヌ川沿いの歴史地区の整備として一体的に進めたものです。ガロンヌ川沿いのフェンスを撤去して、市民に対して自由に開かれた公共空間が提供され、同時に歴史との調和が図られました。この写真でお見せした水盤もそのときの改革で作られたものです。

 結果として、これらの都市再整備が世界遺産登録につながりました。ですので、世界遺産の街にトラムを通したというのは少し間違った見方でして、両者の再構築・再整備は密接不可分だったのだと思わなければならないでしょう。




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 日本では各地で世界遺産の登録を目指して活動が行われています。しかし、その活動は形式的なものに過ぎるのではないでしょうか。街を形取った歴史の再生と、今を生きる人々の足の整備を一体的に考え、その成果として登録を得るという発想があるでしょうか。鎌倉市が非常に拙速な申請により実質NGが出て、当分の申請活動ができなくなりましたが、ボルドーの取り組みと対比するとそれは当然の結論と言わざるをえません。

 一時期、ボルドーのアラン・ジュペ市長は、フランス共和国の首相も兼務していました(ジャック・シラク政権)。その後、国防大臣と外務大臣にも就任しており保守政界の大物と言える人物です。市長と首相を兼務できるという制度上の違いはありますが、日本でそのような大人物が地方自治体にいるのかというと、暗澹たる気分になってしまいます。

 世界的に魅力のある都市整備には、それだけの強力な政治力が必要だと認識しないといけませんね。


ボルドーのトラムと街の人々と


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 政治のありようとは無関係に、電停で待つ人々の姿にもドラマがあります。

 カメラ片手にただこのトラムの路線沿いを歩いていたのですが、あらゆる瞬間にドラマがあり、全く飽きることがありませんでした。

 そしてこの写真。トラムの通過に合わせてカメラを構えていたら、ピースしてくれました(笑) すれ違ってお互い笑顔。嬉しいですね。

 パリはいかにも大都会といった雰囲気でしたが、ボルドーのほどよく気ままな都会さと自由さがとてもいいです。

 以前取り上げたプラハ もそうですが、街に歴史が溶け込んでいる街は、時代の気ままさに左右されない独特の空気が市民に根付くのかもしれません。



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 先代のノクトン50mm (NOKTON 50mmF1.5 Aspherical)で撮影していますが。ピントの切れも良く、ボケも自然なので、レンズのクセを意識せずにありのままにカメラを楽しめる一本です。

 難を言うなら写りが良すぎるというところでしょうか(笑) ライカ使うならもっと味のある写真を撮りたいという人は多いかもしれません。

 さて写真に戻りますが、ボルドーのトラムは旧市街地の中心を通る庶民の足として大いに活用されていて、ほぼ満員の状態で運行されていました。この電停はサンタンドレ教会という名所であることに加え、乗り換えにも使われることもあって、特に利用者が多いようで、常に多くの人がトラムを待っています。



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 JR東日本元会長の山之内秀一郎氏が大学に講演に来たときに「路面電車はマニアのための乗り物」と切り捨てていたのですが、旧市街地の都市再生計画と調和した交通手段という点で、トラムの重要性は各国でも年々増しているように感じます。ボルドーにトラムが導入されたのも、その講演のずっと後でした。

 確かに日本は人口密度も高く、到底トラムの輸送効率では処理できない路線も多いとは思うのですが、京都のようにいまだにバスが幅をきかせている大都市も少なくありません。都市景観や環境への配慮、大規模公共投資を不要とするいう点で、見直すべき交通手段であるように思いますね。

 そして、都市スナップにはとても魅力的な被写体であることも、メリットに付け加えて頂ければと思います(笑)



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by vivid_bit | 2013-12-11 11:34 | NOKTON50mm F1.5


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