スイス・マッターホルンへの鉄路とモノトーン旅行記
 大自然のあるところは素晴らしい色で表現したいものですが、モノトーンで表現される陰影にも絶妙な美しさがあります。

 カメラを片手に電車でスイス・マッターホルンを目指します。


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EOS 5D MarkII + TAMRON SP AF 17-35mm F/2.8-4 Di LD Aspherical [IF]

 線路の傍らで乳白色の川が、谷間の村の合間をかき分けるように流れ、荒々しい波を立てています。電車はかなりの急勾配を登っていくのですが、それと同じく川も急勾配で流れていることになるのです。

 こんなダイナミックな風景が、マッターホルン観光で有名な街・ツェルマットを目指す電車の車窓から楽しめます。



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EOS 5D MarkII + EF24-70mm F2.8 L USM

 それにしてもこの乳白色は……あ、氷河が削った岩の色ではないかと気づいたとき、日本では無い別の地球科学的な場所に立っているという実感が湧いてきます。

 ミネラルウォーターを選ぶとき、何の考えもなく「硬水」「軟水」を選んでいますが、この水もヨーロッパ大陸に残る氷河と分厚い岩盤層が築いた味なのだと考えると、スケールの大きな話です。



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 列車の向かい合い席の間には小さなテーブルが設置してあります。この小さなテーブルの表面には、スイスの街と鉄道路線の描かれた地図がプリントされていました。旅の気分はより一層高まってきます。


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EOS 5D MarkII + TAMRON SP AF 17-35mm F/2.8-4 Di LD Aspherical [IF] ヘルブリッゲン駅 ( Herbriggen )





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EOS 5D MarkII + TAMRON SP AF 17-35mm F/2.8-4 Di LD Aspherical [IF] ランダの山崩れ跡

 さて、マッターホルン・ゴッタルド鉄道( Matterhorn-Gotthard-Bahn )のこの路線は氷河急行が通ることでも有名ですが、乗ったのは普通電車です。しかしながら車窓に合わせて席を自由に変えて、色々な眺めを楽しめるのは空いている普通電車ならではの楽しみです。ちなみに、すれ違った氷河急行はほぼ満席で、席移動など楽しめる雰囲気ではありませんでした。

 ランダ村の山崩れ跡を通過し、川沿いの鉄路を登る電車の前方に現れたのは、想像以上に荒々しい岩肌を見せながらも整った形状をしているマッターホルンでした。少し傾きつつある(といっても18時近いのですが)陽の光を受けて黄色に輝いています。乗客は慌てて窓に駆け寄りシャッターを切っています。

 普通電車で良かった。心から思ったのはこの瞬間でした。

 あっという間に列車は終点のツェルマットの駅に吸い込まれていきます。




ツェルマット駅前にて


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EOS 5D MarkII + EF24-70mm F2.8 L USM ツェルマット駅前

 ツェルマットには化石燃料を使った自動車は乗り入れることができません。ここでは変な形をした電気自動車(最新の電気自動車なんてものは無い)や馬車が大活躍していました。

 馬車は観光客にも大人気。タクシー代わりの馬が並ぶ不思議な雰囲気の駅前です。車がいないと街はこれほど前に静かになるものかと驚かされます。ただ欲を言うならば、馬車もいるほど観光地すぎてこの街に泊まるのは面白くないなと思ったのも事実です。



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 発車までの空き時間に絵葉書などを買って、駅近くの街を見て回りました。先ほどの写真のおばちゃんもそうですが、トレッキングの装備を手にした人がかなり多いという印象です。

 スイス旅行で思っていた疑問が確信に変わったのはここです。

 それは日本人があまり多くないのではないかということ。

 ツェルマットには呆れるほど多くの日本人で溢れているのではないかと思っていました。というのもスイスのツアーを見ると絶対にツェルマットに行くプランになっていたからです。ところが、ツェルマットの駅のホームや街を歩く観光客の容姿を見る限り、どうもそうではないようなのです。ヨーロッパ各国の方を中心にご年配の夫婦や家族がとても多く、想像していた観光地のイメージとは少し違っていました。

 これも鉄道一つで西ヨーロッパの各国から遊びに行くことができるという、交通の便の良さからこそなのかもしれません。



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 マッターホルン・ゴッタルド鉄道 ツェルマット駅

 ツェルマットでゴルナーグラート登山鉄道に乗り換え、さらに急な勾配を登っていきます。この鉄道は始点と終点で標高差が1400m近くあり、まさに「登山」としか言い様のない路線です。

 出発してしばらくすると眼下にはツェルマットの街並みが広がり、マッターホルンが目に飛び込んできます。




森林限界を超える


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 リッフェルアルプ駅を過ぎると森林限界を突破し、眺望が大きく開けます。リゾートホテルのあるリッフェルアルプ駅も大分高い場所にありましたが、列車は更に山を登っていきます。

 途中駅で鉄道工事の作業員達とすれ違いました。厳しい自然の中で、常にメンテナンスを続けているのでしょう。先ほどの写真にもあったように路線そばで大きな崖崩れが起きることもしばしばあるようです。




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 線路がカーブし、尾根の上を電車が登っていきます。

 そこで目に飛び込んできたのは更に大きな姿となったマッターホルンの姿でした。



リッフェルベルクへ

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 リッフェルベルク駅に到着します。

 リッフェルベルクの駅舎はスキー場のリフト乗り場のような風情です。ホームの反対側には牧草地が広がり、のどかなカウベルを響かせながら羊たちがやってきました。空は恐ろしく澄んだ青色をしています。草の葉は午後の陽光を受けて明るい黄緑色をしています。



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 駅前には何もありません。ホテルまで未舗装の道が続き、トレッキングコースの看板が行き先を示してくれるだけです。

 音も何もしません。

 音がしないということがいかに新鮮か。日常がいかにノイズに満ちあふれているかを痛感します。





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 リッフェルベルク教会

 ホテルのすぐそば、駅前とは思えない場所に人気の無い教会と美しい山並みが広がっています。神秘的な場所です。

 逆さマッターホルンを撮影できるトレッキングコースの終点近くにありますが、夕刻(といっても20時近くですが)にはほとんど通る人がいません。ただ静寂だけが広がっていました。山並みのシルエットと雲の動きがこの教会にとても合っています。実に美しく、素朴でした。また一度行きたいですね。

マッターホルンの美しい姿を描いたこちらの記事もご覧下さい。

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by vivid_bit | 2013-08-03 19:21 | EF24-70mm L USM
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