Foveonセンサーでスイスアルプスを精密に写し出す
 高解像度のシグマ DP2 Merrill を持つ者にとって、岩肌というのはとても魅力的な被写体です。

 峻厳たる山並みを、緊張感を持って写し取るのは並大抵の機材では許されないところですが、手の内に収まるコンパクトなカメラがとんでもない絵を作り出すのは想像しがたいところがあります。

 ところが、このカメラはやってくれるのです。

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 スイス中部の湖畔の街・ブリエンツからインターラーケンまで、鉄道会社の運営する船で旅します。船から眺める湖畔の街並みと岩肌の組み合わせが実に見事であり、また氷河から溶け込んだ水が薄緑色の不思議な色合いを見せてくれます。

 その風景にさりげなくMerrillを向けると、遠くにそびえる岩肌も、幾年もの時間を重ねて集積された地層一つ一つが、あたかも手に取って観察しているかのように鮮明に見て取れます。後付けでシャープネスをかけたような不自然さもありません。

 DP2 Merrillを買ったときはまだDP1 Merrillが発売されていなかったため、旅行にはもう少し広角の方がいいかなと思っていたのですが、いざ持ち出してみると雄大な景色を撮影するのにも大いに活躍してくれました。 このカメラは一眼レフを既に持っているようなユーザーのサブの1台として買われることが多いと思います。その意味では、画角が狭いカメラを持って、景色の一部をシャープに切り取るという使い方が合っているのかもしれません。

 ちなみにここではDP2 Merrillだけでなく、EOS 5D MarkII  + EF24-70mm F2.8 L USM でも撮影したのですが、圧倒的にDP2 Merrillの解像力は上であり、誰が見ても分かるほどの差が付いていました。

 以前、デジタル風景写真をアピールする雑誌を読んでいたとき、そのサンプル写真を見ながら、「風景写真を撮るのはまだまだフィルムの方が良いな」と思っていたのですが、フィルムよりも美しい表現ができる時代がやってきたことを確信します。

 表現の革命、とは言い過ぎかもしれませんが、それほどに魅力のある絵だと思います。

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 インターラーケンから鉄道で山を登り、ラウターブルンネン駅で乗り換えます。そこからは本格的な山岳鉄道の趣がありますが、ヴェンゲンという街は避暑のリゾートといった雰囲気で高級感のある街です。駅を降り、ふと見上げるとそこにはそそり立つ岩山と高所らしい澄んだ青い空が広がっていました。

 爽やかながらも、日差しは8月らしい力強さがあり、青い空と緑の草原はより鮮やかに輝いています。

 そして今夜の宿のあるミューレンを目指します。

ミューレンから岩山を眺める


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 ミューレンという街はヴェンゲンの反対側の谷の上にあるのですが、こちらは街というより村といった方が良いぐらいの大変小さな集落です。東側にアルプス山脈を望む素晴らしい土地であり、夕刻には黄色みを増した光が岩肌を照らします。 

 このミューレンは、昨今は旅番組でも時折取り上げられるようになっており、関口智宏さんの番組でも取り上げられたことがあります。アルプスの夕暮れを眺められるポイントとして屈指の立地でしょう。

 そしてDP2 Merrillはシャドーの部分から雲の明るい部分まで、絶妙なトーンで臨場感あふれる絵を作り出してくれます。

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 いよいよ日が暮れてくると、遠くから届く赤い光が中部アルプス三山の山頂を赤く照らし出します。山筋に残る雪と細かな地層と、恐ろしいほどにリアルな感触で伝わってきます。

 この周辺にはミューレン以外にも有名な観光地が多く、むしろ宿泊地にミューレンを選ぶ人は珍しい部類と言えます。しかしながら私が見たかったのはこの夕暮れ時に赤く染まる山々であり、絶好の場所としてミューレンを選びました。まさにその狙い通りの光景でした。

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 ミューレンのホテル、ホテルアイガーに一泊し、日が昇るのを待ちます。段々と明るくなる空に、巨峰・アイガーの真っ黒く力強い姿が浮かび上がります。これだけ輝度差があると山際の表現が破綻しそうになるところですが、等倍で見ても全く違和感がありません。

マッターホルンの夕暮れ


 ところ変わって今度はマッターホルンへ。スイスの定番とも言える場所ですが、ミューレンとは違ってシルエットとして消えていく山の姿もぜひ見てみたいと思っていました。この日も天気は素晴らしく、表情のある雲が出て見てて飽きることがありません。途中ひと気の無い草原で、風とカウベルの鳴り響く中で夕暮れを迎えます。

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 動きのある雲を眺めながら、傾く太陽の光が刻一刻と景色を変えてゆく姿にただただ感動するばかりです。

 飛行機の往来も多い地域なので、飛行機雲が景色に入りがちなのですが、むしろ絵に動きをもたらしてくれて楽しかったです。 



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 雲の繊細な雰囲気と少し謎めいた色彩美をDP2 Merrillは表現してくれます。

 もちろん、赤は飽和気味で正確な色合いではないのですが、この暴れっぷりこそがDP2 Merrillの真骨頂とも言えます。これ一台で旅行に行くには怖いところのあるカメラですが、絵画的な表現美を楽しむためにも、サブの1台として持ち歩くのはおすすめのカメラです。

 今回、広角で撮りたくなるような広大な景色をテーマに取り上げましたが、DP2 Merrillは風景主体の旅においても大いに楽しめるカメラと言えるでしょう。


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by vivid_bit | 2013-07-17 23:23 | DP2 Merrill
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